バンコクのセブンイレブンに行った時のことである。
自動ドアが開き、店内に入ろうと1歩踏み出した瞬間、何かが視界の片隅に入った。
白い猫だ。考え事でもしていたら踏んづけているところだった。
体は床の色と同化してるし。せめて尻尾くらい畳んだらどうなんだ?

セブンイレブンで寝そべる猫
寝そべりながら客が買い物をするのを眺めている猫であった。
カメラを向けるとドヤ顔でこちらを振り返ったが、その表情には悪びれたところは全くない。

悪びれる様子もない猫
なにカメラ向けとんねん?
その猫は買い物を終えたお客さんに促されて、ようやくセブンイレブンから出て行った。
「しょうがねえ、出てってやるか」という素振りで、のそのそと歩いて行く猫であった。
やることは大胆だが、意外と素直な猫である。

店から出て行く猫
こんなしけた店、出てってやるわい!
実はこの日の夜、この猫と心温まる交流があった。
外出先から戻る時、地下鉄の構内を出たところに鶏のから揚げを売る屋台があった。
人気があるのかガラスのケースに入っていた唐揚げは残り少ない。
屋台のおじさんが「おいしいよ」と言うので1つ買ってみた。
地下鉄の駅からホテルに行くまでの間に、あの猫のいたセブンイレブンがある。
店の前には、あの猫がいた。
セブンイレブンの前には、夜だけ営業する串焼きの屋台も出ていた。
その屋台で串焼きを買う客のおこぼれにあずかろうとしているのか、はたまた営業終了後、屋台の店主が残った串焼きを猫に与えるのか、その猫はえさがもらえるのでここら辺に生息しているのだろう。
唐揚げの入っている袋を開けようとすると、猫の反応は早かった。「ニャー」と鳴きながら足元に駆け寄って来た。
唐揚げの5分の1ほどを噛み切り、客の出入りに邪魔にならないよう猫を出入り口から少し離れた所に誘導した。
唐揚げを目の前に、今にも食べようとする態勢の猫であったが、目は違う方を向いている。
セブンイレブンの建物の横に、スマホを見ている若いお兄ちゃんがいたのだ。
猫は唐揚げを盗られるのを心配したのかもしれない。しばらくスマホのお兄ちゃんを凝視していた猫だったが、そのお兄ちゃんが敵ではないと悟った猫は唐揚げにかぶりついた。
セブンイレブンの営業を妨害する猫ではあったが、店員の方は猫が好きなようで、店から出てきた若い女性の店員は、猫が唐揚げを食べている姿を見て微笑んでいた。
翌朝もその猫を見ることになる。 猫の近くでしゃがむと1度寄っては来たものの、何かが気になるらしくずっと上の方を見ていた。

上を気にする猫
昨日は唐揚げありがとにゃ~
その後、何度かこの猫を見かけたが、もう1匹仲間がいるらしく、2匹で元気よく遊んでいる時もあった。
バンコクのセブンイレブンを拠点に、たくましく生きる猫である。