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ワタミがこれからもブラック企業であり続ける理由

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ブラック企業と批判されるワタミが、企業再生に向け朝日新聞に広告を掲載した。「おっ、ワタミは変わるのか?」と思わせるようなメッセージであるが、おそらくワタミは変わることはないだろう。

 

新聞に掲載された広告を読み解くとともに、ワタミが本当にブラック企業を脱却するためにやるべきことを考察してみたい。

 

ワタミの新聞広告でのメッセージ

ワタミは「私たちワタミは変わります」という広告を2016年6月27日の朝日新聞に掲載した。下記の記事で広告の写真を見ることができる。

 

gahalog.2chblog.jp

 

広告の内容は次の通りである。

 

私たちワタミは、

一連のブラック企業批判に対して

その理由と要因にしっかりと向き合い

働き方や社会との関わり方をはじめ

アイデンティティーを聖域なく見直しました。

 

再生に向けて、

私たちは一番大切にするものを「心」と明確に定めました。

働く従業員の心、お客様への心、社会への心を

どこよりも大事にする企業を目指します。

 

前半は「アイデンティティー」を見直すというのが意味不明であるが、ここは目をつぶることにする。おそらく「アイデンティティー」という言葉を意味なく使用しているだけである。

 

そして、ブラック企業と批判される理由と要因を見直した結果、ワタミは再生するという決意をするのだ。ワタミが一番大切にするものを「心」と定めることによってである。

 

ここで何も変わる気がないことが読み取れる。「心」という抽象的な表現でぼかしており、具体的な解決策はないのである。抽象的で意味不明な表現は、ワタミが得意とすることだ。「社員は家族」というのも同様である。

 

ワタミに対する批判は、自殺者もでた従業員への対応である。ここでは客や社会は関係ない。ワタミに対する批判は従業員の労働環境から生まれたものであり、ワタミの従業員の労働環境をどのように改善していくのかが問題なのである。ワタミの言う「心」とはどういうもので、その「心」でどのように労働環境を変えていくのかには全く言及されていない。

 

そして、広告文の最後でワタミの本性が表れる。

 

黄緑は【フレッシュグリーン】は

植物の再生を表す色と言われています。

総合居酒屋から食の総合企業へ

私たちワタミは今日から再生します。

 

ワタミにとって、再生というのはブラック企業からの脱却ではなく、「総合居酒屋」から「食の総合企業」への再生なのである。これは単に企業イメージを変えたいのであって、労働問題を根本的に解決する気は全くないように見える。

 

結局、ワタミは企業イメージを刷新したいのであって、従業員の労働に関する問題などには興味はないのである。

 

ワタミの問題点

2014年7月当時のワタミの社長のインタビューがある。

 

toyokeizai.net

 

このインタビューの中で、当時の社長は次のように語っている。

 

残業にしても休みにしても、「取るな」なんて言っていないし、週休2日取りましょう、残業代もつけましょうと言っている。どの企業にも、自分たちが大事にしているもの、守りたいものがある。お店であれば、自分たちのお店はお客様のアンケートの内容がいい、お店の成績がいいということ。そんな状態の中で頑張りすぎているところはあったと思う。

 

まるで、サービス残業や休日出勤については、経営陣には責任はなく、あくまでも従業員の自主性であるかのような言い方である。まさにブラック企業の言い訳である。

ブラック企業は暴言や暴力による直接的な圧迫もあるが、「雰囲気」による圧迫もある。例えば、定時になっても帰りづらく、夜遅くまで会社に残っていなくてはならないとか、有給が取りづらいといったようにだ。

このような無言の圧迫は、間違いなく経営者の責任である。サービス残業や無給の休日出勤をなくすためには、経営者が無言の圧迫をなくしていかなければならない。

外資系や国内の大手の一部には、有給に対して厳しい企業がある。有給が取りづらいのではない。有給の消化率が悪い社員がいると、その社員の上司に人事から警告が出されるのである。トップダウン方式でこのくらいやらなければ、ワタミを始めとするブラック企業の体質は変わることはない。

 

ワタミが本当に再生するためには?

渡邉美樹氏の影響力を減少させる

ワタミが変わるために最も重要なことは、創業者である渡邉美樹氏の影響力を断ち切ることである。渡邉氏がガンであることは、彼の言動から見れば明らかである。彼の経営陣に対する影響は大きいだろう。この影響を絶ち、実際の経営者が実権を握ることが重要である。

渡邉氏がコメンテーターとしてテレビに出演しているのを何度か見たことがあるが、表情が乏しいことが不気味であった。心因性の何かが原因なのかどうかは分からないが、何らかの問題があるのを感じる。

渡邉氏の影響を断ち切るためには、実務的な面から考えれば、有限会社アレーテーを通して彼が保有する約26%のワタミの株式を株式市場に出すことにより、彼の株式の保有率を下げることである。難しいところではあるが、これなくしてワタミの再生はあり得ないであろう。

社員は家族ではないことを認識する

ワタミは、渡邉美樹氏の影響もあってか、一見美しいが、実は意味不明の言葉が多い。「社員は家族」もそのうちの1つである。これをもって、ワタミは労働組合は必要がないとしてきた。

確かに社員を家族のように扱う企業もある。普段は厳しいが、いざという時は社員を守る。このような経営者もまれにいる。しかし、このような会社は、社長が社員全員のことを把握している小企業の場合である。

企業と家族は目的が異なる組織である。企業は利潤追求の組織であり、利益のためには無駄をなくす組織である。一方、家族は、いろいろな目的があるかもしれないが、基本的には幸福を追求する組織であり、幸福を高めるためには無駄なこともする組織である。企業と家族は、その存在の目的は大きく違うのであり、「社員は家族」などというのはあり得ないのだ。

ワタミの経営陣は、社員は労働契約を通じて関係している赤の他人であることを認識すべきである。そして、抽象的な言葉を止めるべきである。経営者が語る言葉には具体性が必要なのである。「心」とか「感動」などの言葉は使用すべきではない。

そのワタミにも労働組合が誕生した。ただし、労働組合ができたことをもって、ワタミが本気で労働環境を改善するかどうかは別である。飲食業の労働組合は、各店舗に従業員がちらばり形骸化しやすいからだ。

それよりも、これまで社員との間で36(サブロク)協定をどのように結んでいたかが気になる。36協定には従業員の代表が署名しなければならない。この従業員の代表をどのように選んできたのだろうか。ワタミは、このような疑問にどのように答えるのであろうか。

 

ワタミは変わらない

せっかく高い費用をかけた新聞広告も、よく見れば新しいロゴを発表する単なるイメージ広告であった。新しいイメージによって、根本的に解決する気のない労働問題を水面下に押しやろうとしているに過ぎない。

今のままではワタミは変わることはないだろう。ロゴとスローガンが変わったところで、何が変わるというのだろうか。本当に変わるためには、ガンを取り除くことである。