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間違っていても通じればいい。ちょっと面倒なタイ語の時間表現

夕暮れ時の海

タイ語の時間の表現は、ちょっとややこしい。日本では、「午前8時」とか「午後8時」という表現すればいいが、この他にも「朝の8時」あるいは「夜の8時」などとも言う。タイ語における時間の表現は、日本語でのいうところの後者の表現を用いる。

 

タイ語を学ぶ上で、ここが少々混乱するところである。おそらく大半の人は「面倒くさいな」と思うのではなかろうか。最もややこしく、かつ間違えやすいのが、午後7時からの言い方だろう。

 

タイ語での午後7時の表現

タイ語の時間の表現は、「朝の」、「午後の」、「夕方の」という語が付くとしても、数字には連続性があり、この点は日本語と異なることはない。しかし、午後7時台から11時台にかけては例外だ。数字の連続性が途切れてしまうのである。どのような表現になるかというと

 

午後5時:๕ โมง เย็น(ハー・モーン・イェン) 

午後6時:๖ โมง เย็น(ホク・モーン・イェン) 

午後7時:๑ ทุ่ม(ヌン・トゥム)

 

となってしまうのである。ちなみに、タイ語の1番左は数字をタイ文字で表している。タイではタイ文字の数字が正式である。

 

どのようなことかというと、「5 モーン・イェン」「6 モーン・イェン」となり、いきなり「1 トゥム」という表現になっているわけだ。これは結構混乱してしまうところだ。慣れるまでは大変である。

 

「午後7時はヌン・トゥムだぞ」と覚えていても、午後8時以降となると、きちんと頭の中で数えないと口から出てこない。午後7時以降に使用される「ทุ่ม(トゥム)」に混乱しまう原因は、「0(ゼロ)」の概念がないことにあると私は思うのである。

 

つまり、通常時間の表現では基準は「0」であるが、タイ語のこの表現の場合、言い方が変わる午後7時に0を使わず、いきなり「๑ ทุ่ม(ヌン・トゥム)」を使用してしまうため、混乱を覚えてしまうのではないかと思うのだ。

 

「午後9時はタイ語で何という?」と突然聞かれると、慣れない内は頭の中で午後7時から数字を数える。そして、午後9時は基準となる午後7時から2時間後だから「ソーン・トゥム(夜の2時)」と答えてしまうのではないだろうか。正解は「サーム・トゥム(夜の3時)」である。

 

午後7時から午後11時台に使用する「トゥム」という表現に慣れるまでには相当時間がかかるであろう。

 

揺れる午後3時と午後4時の表現

話は変わり、「午後3時」と「午後4時」を、タイ語ではそれぞれ「บ่าย ๓ โมง(バーイ・サーム・モーン)」、「๔ โมง เย็น(シー・モーン・イェン)」と表現する。ここでは数字の方は「3」、「4」と順番通りであり、その数字につける語句を変えるだけになる。つまり、「バーイ 3 モーン」、「4 モーン・イェン」という表現になる。まあ、これらのタイ語の時間の表現は、どの会話の本にも出てくる重要な事柄であり、何も問題はないのだが…。

 

ある日、知り合いのタイ人と会う約束をすることになった。私は、約束の時間を午後3時にしようと提案したのであるが、その時「午後3時」のことを「๓ โมง เย็น(サーム・モーン・イェン)」と言ってしまった。すぐに間違いに気付き、「バーイ・サーム・モーン」と言い直したのだが、相手のタイ人は「OK、๓ โมง เย็น(サーム・モーン・イェン)ね」と、私の言った間違ったタイ語を繰り返したのである。言い方を間違ったので、「私のことをからかっているのかな」と思ったのだが、その後の話しぶりからすると、決してからかっている感じでもなかった。

 

電話を切る間際にも、「それじゃ、サーム・モーン・イェンね」と間違ったタイ語を繰り返すタイ人であった。ちょっと腑に落ちなかったのだが、私はある仮説を立ててみた。

 

その仮説というのは、「午後3時と午後4時の言い方って、実は曖昧なのではないか?」というものであった。そして、別のタイ人に聞いてみることにした。

 

๓ โมง เย็น(サーム・モーン・イェン)って言い方は可能?」

 

私が疑問を投げかけた別のタイ人は「そういう風に言う人もいます。私は言いませんけど。うちのおばあちゃんとか、よく言いますね」と答えたのである。どうやら仮説は正しいようだった。そして、さらに聞いてみた。

 

「サーム・モーン・イェンって聞いたら、『その言い方、間違ってる』とか言うの?」

「別に…。意味が分かるから、気にしないです。บ่าย ๔ โมง(バーイ・シー・モーン)って言う人もいますよ」

 

タイ語の「เย็น(イェン)」には、「夕方」という意味の他に、「涼しい」という意味もある。タイ人も涼しい日の午後3時には「イェン」を使いたくなってしまうのではないだろうか。

 

もちろんタイ語学習者として覚えるべき表現は「บ่าย ๓ โมง(バーイ・サーム・モーン)」と「๔ โมง เย็น(シー・モーン・イェン)」である。しかし、少しくらい言い方を間違ったくらいで、くよくよする必要もない。タイ人は、たいして気にしないだろうから。