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豊胸手術にご用心!あなたが将来受けるかもしれない異物除去手術とは?

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 それまで一般企業で働いていたのだが、諸事情により数年間、病院に勤務したことがある。

 

 「病院で働くなんて嫌だな…」と思っていたのだが、実際に病院で働いてみると、結構面白いのだ。ある意味特殊な職場であり、病院に勤務する以前には経験できなかったこともたくさんあった。

 

 私が勤務した病院は、とある地域に根差した一般の病院であった。規模としては大病院の下か中病院の上くらいの病院だ。

 

 その病院では給与計算や経理業務を主とした事務職であったが、私の業務の一つに手術をした医師のバイト代の計算があった。このように書くと普通の人には分からないかもしれないが、非常勤の医師に対する報酬のことである。

 

 普通、病院ではその病院に常勤で勤務する医師の他に、近くの大学の医局や他の病院の医師が非常勤で勤務している場合が多い。外来で曜日ごとに医師が異なるのもこのためである。簡単に言えば、他の医療機関からのヘルプの医師である。

 

 ヘルプの医師に対して支払いを「バイト代」と呼び、常勤の医師や職員同様、月に1度バイト代を計算し、非常勤の医師に支払うのである。非常勤の医師の内、手術に携わった医師のバイト代を計算するという業務をしていたわけだ。 

 

 手術をする医師のバイト代の計算方法

手術をした医師のバイト代を計算するため、月に1度、手術室の看護師(当時はまだ「看護婦」と呼んでいたが)さんから手術のレポートのファイルを貸してもらう。そのファイルから非常勤の医師の手術をピックアップし、バイト代の計算の根拠とするのである。

 

手術のレポートには、手術をした医師の名前はもちろんのこと、患者名や手術の名称、手術の時間等、手術に関する詳細が記載されていた。手術をする医師の報酬は、手術の難易度と手術にかかった時間により計算する。手術にかかった時間は手術の開始から終了までの時間で、手術の難易度は手術名により判断する。

 

手術にかかった時間がバイトをした医師の基本給みたいなもので、1回あたりの手術で、その医師に支払う最低限の報酬である。手術のバイトをする医師は大勢いたので、報酬額の計算が特殊なこともあったが、基本的には4時間までの手術に対していくら、4時間を超える手術の場合は追加で1時間あたりいくらと決められている。手術の難易度が高い場合は、難易度に応じて報酬をプラスするという計算である。

 

基本給に相当する額は医師により様々で、それぞれの医師との契約によって決められる。基本給が4万円、追加の時間給が1万円の医師が難易度の低い手術をした場合、手術に1時間かかろうが4時間かかろうが報酬は4万円である。手術の時間が4時間10分の場合は1万円がプラスされ、報酬は5万円となる。4時間を1分でも超えたら時間給が発生するという仕組みである。

 

特殊なのは麻酔医である。麻酔医の場合、麻酔の効果がある時間分だけの報酬を受け取ることができるのだ。

 

例えば、ある手術で手術そのものは3時間程度だが、12時間効果が持続する麻酔が必要だとしよう。このケースの場合、麻酔医に対する報酬が先ほどの例と同じ基本給4万円、追加の時間給1万円の場合、この麻酔医に支払うバイト代は、4時間までの4万円にプラスし、8時間分の追加の時間給8万円を合わせ12万円となる。この金額は、当時の最低額に近いので、当然もっと多額の報酬を受け取る麻酔医もいた。

 

手術を担当した医師は、手術が終わればさっさと帰るのだが、麻酔医の方も帰ってしまうのである。もちろん何か起きたら麻酔医の責任になるので、非常事態に備え連絡をできる状態にしておかねばならない。しかし、そのような非常事態などほとんど起きないので、結構おいしいバイトである。

 

麻酔医の報酬を知った時「麻酔医っていいなあ」と思ったものだ。高校生の時、こんな事実を知っていたら麻酔医を目指していたかもしれない。そのくらい羨ましいと思っていた。 

 

異物除去手術とは?

上記のような計算方法で、手術をした医師のバイト代を算出するのであるが、最初の内はどの手術がどの難易度になるのかも分からず、疑問がある場合は他の職員に聞いていた。

 

もっとも、最初にある程度のことは教えてもらっていたので、手術のレポートに聞きなれない手術名が書かれていた時だけ注意を払えばよかった。しかも、ほとんどが難易度の低い手術であったので、他の職員に確認する機会はあまりなかった。

 

数ヶ月もするとこの業務にも慣れてきたので、手術のレポートを詳細に読む余裕ができてきた。それまでは単なる記号であった手術名も「あー、この手術ね!」と理解できるようになってきた。

 

そして、とある手術がやたらと多いのが気になりだしたのである。手術名は「異物除去手術」というものだった。少ない月で1~2件、多い月だと7~8件もあった。私は、異物除去手術とは「鋭利で小さい物、例えば鉛筆の芯などが体内にくい込んでしまい、それを取り除く手術」、あるいは「体内の良性腫瘍を取り除く手術」あたりかなと思っていた。

 

しかし、その業務を続けている内に、ある傾向に気付いた。異物除去手術は女性に対してのみ行われていたのだ。男性に対する異物除去手術は全くなかった。しかも、その手術を受ける女性というのも60歳代後半から80歳代の高齢者が多かったのである。つまり、おばあちゃんに対する手術であった。

 

手術名から察すれば、男性が受けてもおかしくないのに、なぜおばあちゃんばかりがこの手術を受けるのだろう?「女性の高齢者がかかりやすい婦人病かな?」と、私は疑問に思ったのである。

 

別に異物除去手術の内容を知らなくても業務には差し支えないのだが、疑問は深まるばかりであった。 

 

異物除去手術、衝撃の事実

ある月、手術のバイト代の計算を終え、手術室の看護師さんにレポートのファイルを返しに行った時のことである。

 

異物除去手術について疑問と興味が高まっていたので、看護師さんに手術の内容を聞いてみることにしたのだ。「異物除去手術ってなに?」と手術室の看護師さんに聞くと、その答えに驚いてしまった。

 

私の質問に対して看護師さんは「シリコンを取るのよ」と答えた。私は意味が分からず「えっ?」と言うと

 

「胸のシリコンを取るのよ」と看護師さんは言った。

 

「本当に?」

 

「年を取って、シリコンがあると良くないのよ」

 

ちょっと信じがたかったが、看護師さんの言わんとしていることは理解できた。

 

異物除去手術とは胸に入っているシリコンを取り除く手術のことだったのだ。シリコンといえば豊胸手術である。「婦人病かな?」と思った私の予想も、あながち間違いではなかったわけだ。

 

私の勤務していた病院は特別な病院ではなく、地域に根差した病院である。異物除去手術を受けるおばあちゃんは、何らかの病気で入院し、治療の過程でシリコンの除去をすすめられたのだろう。そして、これらの入院患者は、本当に一般の女性である。

 

異物除去手術の内容にも驚いたが、その数の多さの方がもっと衝撃的だった。私がこの業務に従事している時、その数は年間40~50件はあったのではないだろうか。かなりの数ではないか。

 

つまり豊胸手術をした女性がそれだけいるということだ。1つの病院でもこれだけいるのに、日本全国では一体どのくらいの数になるのだろうか。

 

豊胸手術が流行った時期があるのだろうか?それとも、豊胸手術というのは、現在もこのような状況なのであろうか?看護師さんへファイルを返し、事務室の戻る時複雑な気分であった。

 

私は、美容整形に関しては何も知らないので、現在の技術で豊胸手術をした場合も、将来年を取った時除去する必要性があるのかどうかは分からない。しかし、病気をし、治療の際にシリコンが邪魔だったり、悪い影響を与えたりするなら、医師から異物除去手術をすすめられることは十分予想できる。

 

う~ん、何だかなと思ってしまうのだった。 

 

手術を受ける恥ずかしいおじいちゃん

シリコン除去をきっかけに、看護師さんと手術の話をするようになった。

 

さすがに異物除去手術はないが、もちろんおじいちゃんも治療に必要な手術は受ける。まあ、ニューハーフなどが流行ってきているので、これから先、男が異物除去手術を受ける可能性もなくはないが…。

 

看護師さんの話によると、おじいちゃんを手術する際、肩が震えてしまうほど面白い事例があるというのだ。

 

若気の至りなのであろう、タトゥーを入れてしまったおじいちゃんである。そのタトゥーというのが、まあ看護師さんから話を聞いてみると実に恥ずかしいものだった。

 

おそらく若い頃付き合っていた女性の名前だろうか、その名前を腕などに彫ってしまったおじいちゃんである。当然その名前の後には「命」という文字も彫られている。

 

つまり、あるおじいちゃんが若い頃「明美」という女性と付き合っていて、腕に「明美命」と彫ってしまうというものだ。こんなの見たら、私も笑ってしまうだろう。そして、「もしそのおじいちゃんが自分だったら」と想像するだけで恥ずかしい…。

 

まあ、こういう人もまれにいるかもしれないが、「さすがに、そんなおじいちゃんて、そんなにいないでしょ?」と看護師さんに聞くと、これがまた結構いるのだそうだ。

 

こんな話を聞くと、タトゥーを入れるのは勝手だが、後々のことも考えた方がいいと思ってしまう。本当に。人間、いずれ年を取るのだから、その時に恥ずかしい思いはしたくはないな、と思うのである。